2012年11月24日土曜日

Geoffrey Hosking " Russian History: A Very Short Introduction"

ISBN-13: 978-0199580989
Oxford Univ Pr(2012/4/7)

ロシアの壮絶な歴史。まずキエフ(今はウクライナだが)がモンゴルにさんざん蹂躙されるところから始まる。キエフは地政学的に防御が困難で、常に騎馬民族に襲撃される町なのである。その間、北のノブゴロドは森林に守られていることもあり、大人しくモンゴルに屈服して朝貢していた。反対側からバイキングだとか言ってスウェーデン人が攻めて来ていたので、モンゴル人の相手をしている場合ではなかったのである。しかし、この間、モンゴル人から統治術を学んだことが、ツアーによる専制からプーチンによる専制まで長い影を落とすことになる。

その後も一方では、キプチャクだのタタールだのコサックだのトルコだのから侵略されるし、他方ではスウェーデンだのリトアニアだのポーランドだのドイツ騎士団だのから侵略されて、一々の細かい戦争まで取り上げられていない。日露戦争に至っては一言も触れられていない(年表には辛うじて載っているが)。つまり、日露戦争なんか、遠くの国境でロシア軍が負けただけの話であり、そんな程度のことはロシア史では日常茶飯事で、一々書いていたらキリがないのだ。実際、ナポレオンのモスクワ侵攻も一ページ少々で済まされているくらいで、もともとロシアのやってきた戦争の数が、日本なんかとは桁が違う。

そして最終的にはスターリンという大災害に見舞われるわけだが、この本を読んだ感想としては、こんな過酷な条件の国は、どんな天才的な政治家が出てきても、キレイにまとめることは不可能ではないかと思われる。良く今まで生き残ってきたし、日本史というのが如何に平和ボケな歴史かというのが痛感される。とにかくロシア史というのは戦争だけでも盛り沢山なので、世界史に疎いわたしですら、もう少し書いてほしいと思うところが色々あった。ただ、わたし同様にロシア史について詳しくない人が読む分には退屈はしない。地図が一切載っていないので、Google Mapsは必須だ。

Fascinating. Lots of wars. Mongols, Kipchaks, Tatars, Cossacks, Lithuanians, Poles, Turkey, Sweden, German knights, France.... Finally, Staling. A history of a great survivor.

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